- 3月24日(水)女子予選、ペアフリー
-
世界選手権のおかげでヘルシンキ市内のほとんど全ての宿泊施設はフィギュアファンで満室状態。オリンピックスタジアム内のユースホステルも例外ではない。
私が泊まっていたのはドミトリー。朝食とシーツ代は別料金で1泊75マルカと安い!ホテルが取れずにいろんな意味でかえってラッキーだった。というのも。
- 小話・3
- ユースホステルにあるカフェテリアで朝ごはんを食べるついでにフランス人の女性に声をかけてご一緒してもらった。するとそのあとから仲間がぞろぞろやってきて、気がつけば1:4の逆ナンパ状態。その中で「スケーターAさんは1番目のダンナ、Bさんは2番目、Cさんは3番目。私はダンナを複数もてるアフリカの民族の出身なの!」と笑い、ジャッジ席の真後ろで派手に応援していたPatricia曰く、
「エルビスは私のファミリーだったけど、ローザンヌでそうでなくなった」
「だって試合の後すごくproudだったの。彼のスケートのスタイルはまだ好きだけど、もう私のファミリーじゃない」とのこと。
ローザンヌで何やったんだ、エルビス!?(笑)
- (途中だが)追記:
- しかしそのPatricia、翌日の公開練習ではちゃっかりエルビスにサインを求めていた。結局ストレートに好きなんじゃないの?それとも近くにいるスケーターなら誰でもいいんだろうか?
カフェテリアで話し込んだ+街をうろつきすぎて、女子予選で最初の3人を見逃してしまった。今回の世界選手権で「参加選手の全員の写真を撮る」ということを目標にしていたのに、第1滑走、韓国の選手が演技も見ないままに予選落ち。痛い。
ペアとアイスダンスも足切りがあることをまったく考えていなかったので、ペア・ショート落ちとアイスダンス・コンパルソリー落ちのカップルの写真が撮れなかった。不覚。
- ダイアナ・ポス(ハンガリー)
GPシリーズで放映された時には「ああ、若手が出てきたな」ぐらいの印象しかなかったが、この時はツボにはまった。
トリプル+トリプルのコンビネーションをきめて波に乗り、それから元気に滑りきった。勢いはあるががさつではなく、素直で瑞々しい演技。ポニーテールが可愛い。衣装のシースルー、そんな使い方しなくても充分魅力は出てるって(^^;)。
メイジャー・ルー(中国)
中国人のスタンダードなメークなのだろうか?ジャンルは違うがジュディ・オングもこんな感じだったような気がする。
真っ赤な衣装が大柄な彼女に映える。慎重に滑っているという感じ。所々に現れる手の動きが丁寧。ただ…悪いとは思う。どうしても重なるのだ。
コーチと振付師、もうちょっとその辺考えてあげて。メークの下の顔立ちはぜんぜん違うのに、今のままじゃ「陳露の拡大&スピードがないバージョン」でこの人自身の色が見えない。見える人は見えるのだろうが。
ミシェル・クワン(アメリカ)
「女子で好きな選手は?」ときかれたらとりあえずミシェルの名を挙げる私。おかえり。今シーズン試合の放送で姿が見えないのはやっぱり寂しかった。
先シーズンと比べて肩がたくましくなっただろうか?ベリーショート、曲と合わさって氷の上で何か世界が見える。妖艶というよりは「強い」という言葉をあてはめたい世界。無難にまとめて予選A組1位。
とはいっても、全体を通して今までにないほどランディングが不安定な感じ。調子が悪いというより、練習量が減ったのが出ているんじゃないだろうか?と勘ぐってしまう。
この時点でミシェルの優勝はないと思った。
- 小話・4
- 実は私、ターニャ・シェフチェンコも結構好きなのだ。先シーズンのNHK杯のエキシビションでは友人と二人で花を選んだことも(花を投げたのは友人)。しかし今シーズンはGPシリーズに出ていない。インターネットでも情報が入らない。
私の席の前のおばちゃん二人は男子ショートの時にドイツ国旗を振っていた。幸い今日は女子シングル。ドイツ選手の情報はドイツ人にきくのが一番確実だろう。
きいてみたところ、待ってましたとばかり資料を取り出して説明してくれた。しかも外国人がわかるように英語版!ひえー!何なんだ、この用意のよさは!
かといってターニャのファンだというのではない様子。世界選手権は世界中のフィギュアスケートファンが集まるし、ターニャのことは質問されると予測がついていたのだろう。すごい。
(おばちゃんの話の内容は省略します。ターニャ〜!おねーさんは悲しいよ!!)
- Dow-Jane Chi(台湾)
目が線一本で描かれて独特のひっつめ髪をし、いつもチャイナ服を着て「〜アルよ」と言う、いわゆる「漫画に出てくる中国人のサブキャラ」そのままのメークと衣装。がんばってチャイナカラーを出しているんだね。
小さい子供を見ているようでほのぼのとした気分になる。のびのびとした演技だった。
- 村主章枝(日本)
やっぱり洗練の度合いが違う。
去年の彼女が花の色がうっすら見えるつぼみだとしたら、今年はすっかり色づいてそろそろほころびそうなつぼみというところだろうか。
この日は絶好調の時と比べると、いまいち波に乗りきれない様子。いくつかミスはあったが大崩れはせず、なんとかまとめたという印象。ほっ。
- シルビア・フォンタナ(イタリア)
- もしイタリア応援団の存在がなかったらここまで強い印象は残らなかっただろう。
女子予選で一番印象に残った応援団はアメリカでもカナダでもなく、イタリア勢だった。女性ばかりだからなのだろうが、まず声の質が他と違う。あの高さはどう考えても裏声。しかも「Hooooo!」という声の大きさが中途半端ではない。見た限り10人もいない(しかもこの時は分散していた)のに、あれはどの席にいても確実に聞こえていたと思う。なんで裏声であんなに大きな声が出せるんだ、イタリア人の特徴か!?(そりゃ短絡的だって)
フォンタナ自身はボナリーを思わせる生き生きとしたスタイルのスケーター。彼女がジャンプをきめるたびに応援団が盛り上がる。そして滑っている彼女の調子がどんどん上がり、表情が変わっていく。本当に楽しそうに滑っていた。終わったあとはこの表情。思わず写真を一枚追加。
(元の写真が小さいから無理に拡大してもわからないか)
結局予選B組5位。今まで彼女の演技を見たことはなかったが、あの様子から察するに会心の演技だったのでは。
まさに選手をサポートした応援団に拍手。
ファンの応援を上手に力にして、楽しい演技を見せてくれたフォンタナにも。
とにかく世界各国から応援団がやってくる。ツアーを組んで席を買い占めて、自国の選手の時だけ異様に盛り上がるアメリカ。席の占拠率はアメリカといい勝負、メープルリーフをアレンジした服を集団で着込んでハートのマークや「6.0」などボードを掲げるパフォーマンスも結構やってくれるカナダ。カウベルをガラガラ鳴らすフランス。選手も混じり、大きな国旗を振って10人程度で応援するヨーロッパの名前しか知らない国々。そんな中で日本勢も負けてはいない。
それとは対照的に、「この人を応援しているぞ!」という対象がなく、フィギュアスケートが好きだから見に来ている人も結構多い。話の流れで私が「エルビス見に来たんです」と言うと「へえ!」と驚かれることもよくあった。(あ、別の理由?)
私にしてみれば特に好きな選手がいないのに世界選手権を見に行ける方が驚きなのに。特定の選手への思いに縛られることなく、本当にスケートそのものが好きなだけで外国へ行くパワーが出るのだから。
世界レベルのファンが集まってここぞとばかりに活動を繰り広げている。
世界選手権はファンにとっても世界選手権なのかもしれない。
勝ち負けはないが。
そんなつわものぞろいの世界選手権の中に入りこんでしまった、初心者の大ボケ話を一つ。
Aグループ:日本、カナダ、ロシア、ウクライナ。
Bグループ:中国、フランス、イタリア。
このグループ分けのもとになった国旗の特徴は何だろう?
答えは国旗が左右対称かそうでないか。
スケーターの登場に合わせて両手で大きめの国旗を振る時、方向が違う出し方をしてしまってあわてて直した経験のある方はいないだろうか?
上下はそうそう間違えないと思うが、問題は左右。会場全体に見せるために国旗を振るのだから、自分が見て正しい方向ではなく、会場の人間から見て正しい方向に出さないと意味がない。
今回私はカナダ(大)と中国(中)の国旗を持ってきた。カナダの場合は上下さえ合わせれば問題ないが、中国の場合は左右対称ではないのでその点を考える必要がある。
しかし!
私は中国の国旗の向きを正確に把握していなかったのだ……
「がんばれアジアンボーイズ!」と言っていても、しょせんこの程度なのである。
その中国国旗、男子シングル予選からずっと目を皿にして観客席をチェックしているのだが、本当に見つからない。(見つけていた方ご指摘ください)
ヨーロッパ開催の世界選手権なので観客の注目度が低いのだろうか。そりゃないだろう。ペアは展開次第では優勝するかもしれないというのに。こんな私しか中国の国旗を振る人間がいないのはあまりにも寂しすぎる!誰か本腰入れて中国勢応援してくれ!
ペアフリーが始まる直前に中国人応援団が来ているのを見つけた。よかった。やっと同じ国の人に応援してもらえる。
(ただこの中国応援団。この時は2階席にいたのに途中で1階席に移動してきた。チケットはどっちを取っていたんだろう?謎だ…)
人数はそれほど多くないものの、大きな中国の国旗を席に広げ、本場の「ジャーヨウ!(加油=がんばれ)」の声援。カナダやアメリカ、フランスのそれとも違う独特の応援に、「お?」という周りの反応。
中国の2番手ペアPang&Tong組の演技の後では、花をあげるタイミングがつかめずにKiss&Cryから離れた客席の間をうろうろする子供が二人いた。見かねた人がKiss&Cryを指差してもわかっていない。ごめんね。顔立ちが似てても説明してあげられないの。
そのあたりでは何か違う空気が流れていた。
二人とも顔が子供なので、ジュニアから上がりたてかな?と思っていたら1979年生まれだった。
さすが雑技団の国のペアというべきか?このグループ(最終14位)でもスロージャンプの迫力は段違い。
来シーズンはGPシリーズに出してね、中国スケート協会。
カナダの2番手Saurette&Fecteau組の演技が終わった直後のモニターに、ダークグリーンのメープルリーフの服を着たエルビスの姿が映った。
カメラを望遠鏡代わりにして探し、最終グループのウォーミングアップの時にリンクの端、かなり前にいるのをなんとか見つけた。反対側の端にある私の席からは前を向けば嫌でも見える。観客としての立場でスケートの会場にいるエルビスと同じ試合を見ているのかと思うと、ちょっと感動、ああ私って純情。
最終グループの一番滑走はカナダのSargent&Wirks組。カナダの応援団はメープルリーフを掲げて盛り上がる。さてここでメープルリーフと中国の国旗を持って来ていた私はどうしたか?
私はペアオンチでこのペアがどういう演技をするのか把握していない。チーム・チャイナなら誰であろうと応援するが、チーム・カナダでは演技を知らない人の応援はできない。プラス!
悪いなエルビスあーんどカナディアン、私が好きなのは中国ペア(申
雪&趙 宏博)だ!
「エルビスが観客としている会場で、ファンであるはずの私が中国の旗を振る」という構図が面白くて思えてテンションが一気に上がった私には得点が出るまでの時間が非常に長い。モニターから視線を移せば階段を上がっていくエルビスの姿が。
なに?仲間の得点見ずに帰っちゃうの!?
はくじょうものお―!おいおい叫ぶなよ。
とはいっても点数が出るまでの間、常に(列までは作っていないけど)誰かがサインをねだりに来ている状態だったのだ。たまったもんじゃない。演技は見られたんだろうか。有名人は辛いね。
それに誰かに促されるように階段を上がっていっていたから、何か予定が入っていたのかもしれない。
そもそも自分の試合が終わってないのに応援に来ただけでも律義でいい人だ、やっぱり。期待してなかっただけにちょっとだけでも姿が見られてラッキーというもの。
それにこれで気がねなく中国の旗が振れるわ。ふんっ。
そもそも二人が溶け合っているようなベレズナヤ組の演技を見ればしょうもないことは忘れる。
申&趙組、ここから先は雪ちゃん&宏博兄さんと書かせてもらう。
この組に惹かれたのは先シーズン。ペアの女子の痛々しいほど華奢なイメージが先行する中で、雪ちゃんの健康的なたくましさが新鮮に映った。あとラブラブではないが仲良さげで、兄妹みたいな所も。(もちろんラブラブのペアも好きだが)粗いと言われればそれまでだが、あの勢いは見ていて気持ちがいい。
そして今シーズン。雪ちゃんが大人っぽくなるわ、先シーズンの「1対1」から「1+1」のような二人の世界が見えてくるわ、それであのスロージャンプは健在だわ。ああこれで衣装がまともになってくれれば(笑)。
出てくる前から大歓声。観客の注目度を心配する必要はなかった。
それにあの演技に印象づけられないフィギュアファンはいないだろう。点数に対して「おいおいそこまでするか」と思うほどのブーイング。いったん立ち上がったあとに座り込む雪ちゃん。それをフォローする宏博兄さん。
まあね、今回は。
国旗が掲げられる。一番左の国旗と同じ旗が私の手の中にある。中国人ではない私でも何か誇らしかった。「世界選手権を見に行くからには」という軽いノリで買った国旗だというのに、増長する私を許して。
ふっふっふ(笑)。エキシビではこの二人に花束作っちゃおうか。
話が前後する。雪ちゃんたちの演技の後、首をちょっと動かしたらエルビスがさっきと同じ場所にいるのが見えた。
息抜きの時間は終わった。明日はどうなるだろう。
(続く)
- 追記:
- その時撮った雪ちゃん&宏博兄さんのスロージャンプの写真、バックの観客席にしっかりエルビスが映っていた。この時にはもういたのか。「トイレに行った」というオチなんだろう。「帰った」と思ってあれこれ考えるあたり、私って本当に馬鹿。
(でも確かにベレズナヤ組の演技が始まる時にはいなかったぞ。あの組をほうってトイレに行ったのだとしたら、いい度胸だ)
前回へ
|