仏事供養のこころえ

日蓮聖人第七百遠忌記念

 

はじめに

 仏教をくらしの中に、どうしたらいかすことができるか、ということは、仏

縁を結んだ人々にとっての共通の思いではないでしょうか。

 私たちは、ふだん、仏事法要や仏教の行事をいとなみ、また仏事などのいと

なまれている場に参列したり、お寺詣り、お墓参りを行ない仏壇に手をあわせ

ています。

 しかし、仏事や行事がいったいどんないわれを持っているのか、どのような

心がまえで仏事を修したらよいのか、という点については意外に知らないこと

が多く、知っていても断片的であるばあいが少なくありません。

 この意味で、仏事供養のいわれをたずね、そこに示されている信仰の姿を明

らかにすることは、仏教をくらしの中にいかしてゆくために大切なことがらで

あると思います。それは、先祖の方々に供養をささげるときにも、また生きて

いるものが信仰にみちびかれて幸せと安楽な人生をおくるうえにおいても欠か

すことができません。

 この本は、こうした点を念頭において、日蓮宗の仏事法要や行事のいわれと

それをいとなむときの心得を、信仰的にしかもわかりやすく伝えようとして発

刊されたものです。

 仏事の内容を絵で見ることによって示し、法話によって仏事供養の意義をと

きあかしている点が本書の特色となっています。

 本書は、宗祖日蓮聖人ご入滅七百年を記念し、日蓮聖人の教えられた供養の

心を多くの方々に語り伝えてゆきたいという願いから世に送りだすことになっ

たものです。

 この本を通して、日蓮宗の仏事・行事についての理解を深められ、お題目を

唱え法華経を読誦し、日蓮聖人の教えにしたがって信心の道をさらに歩みつづ

けられることを念願しております。

 また、本書をご活用していただき、多くの人々に仏事供養のこころざしを語

り伝えてくだされば、これにまさる喜びはありません。

 本書の刊行にさいしては、東京都西部日蓮聖人第七百遠忌報恩奉行委員会・

同宗務所関係者をはじめとする各位のご支援・ご協賛をいただきました。また

、伊東隆司師(横浜常照寺住職)に絵を書いていただき、東京都西部の住職教

師の方々からは原稿を執筆してもらいました。とくに東京西部教化センターの

各師には企画から編集・刊行にいたるまでのすべてにわたって尽力をたまわり

ました。さらに本書の発刊に当っては、じつに多くの方々のご協力をえました

。ここに記して、心から感謝を申しあげます。

                    日蓮宗東京都西部宗務所長

                           駒野 教格

 

目 次

 

はじめに

 

行事のこころえ

 一 花まつり

   法話 お釈迦さまの降誕

 二 お彼岸

   法話 六つの行ない

 三 お盆

   法話 先祖の霊に供養する

 四 お会式

   法話 お祖師さまへの報恩感謝

 

仏事供養のこころえ

 一 供養

   法話 供養と精進

 二 布施

   法話 財施と法施

 三 合掌

 四 葬儀

   法話 葬儀のこころえ

 五 戒名

 六 日蓮聖人と追善供養

   法話 ある納骨供養の話

      一億二百万字イコール七字

      お墓にお題目を

 七 塔婆

   法話 お塔婆供養の功徳

 

信仰生活のこころえ

 一 数珠

 二 仏壇

   法話 心のトビラをひらく

 三 華・香・灯明

   法話 華・香・灯明の給仕

 四 供物

 五 位牌

   法話 お位牌を拝む

 六 過去帳

 七 檀信徒の日常の心がまえ

 八 菩提寺と檀信徒

   法話 お寺は心の糸を結ぶ道場

信心のこころえ

 一 お釈迦様と法華経

 二 ご本尊とお題目

 三 日蓮聖人と日蓮宗

 四 日蓮宗と新興教団

祈りこころえ

 一 祈祷の意味とこころえ

 二 祈願のこころえ

執筆分担と執筆者紹介

あとがき