当院では、平成18年12月27日に電子カルテMedicom DP-X + レセプトコンピュータ MC/Xが稼動しました。その後、平成26年2月16日に更新を行い、電子カルテとレセコンが一体になったMedicom HRVが稼働しました。このページでは、導入にあたり、わかったことなどをまとめてみました。これから導入を予定されておられる皆様の参考になることがあれば幸いです。
                                                  平成27年8月27日改訂

 ○機器構成

電子カルテ-レセコン システムハードウェア仕様
品名 仕様・形式
電子カルテサーバ
MV-H28SAG
CPU:Intel Xeon E3-1220v2 3.10GHz メモリー:8GB HDD:500GB×2 ミラーリング(RAID-1方式)  外付HDDによるバックアップ
ディスプレイ:23型
1
電子カルテクライアント1
MV-H28PAG
CPU:Intel Core i5-3470 3.20GHz メモリー:8GB HDD:250GB (グラフィックボード実装済)
ディスプレイ:23型 + 22型ペンタブレット
1
電子カルテクライアント2
MV-H28PA 
CPU:Intel Core i5-3470 3.20GHz メモリー:8GB HDD:250GB
ディスプレイ:23型
 
レーザープリンタ
MV-HPML25A
・診察券印刷(A6用紙)(80×50mmを切り出して、パウチする。)
・処方箋印刷(A5用紙)
・領収・明細書印刷(A5用紙)
・日報等印刷(A4用紙)
1
インクジェットプリンタ
Epson PX-105
・紹介状、返書、診断書 他 印刷 1
保険証読み取り用
スキャナー MV-JRS60FG
 ・保険証読み取り・認識  
スキャナー
Epson GT-F740
・他院からの紹介状、検査結果などの取り込み用 1
UPS ・サーバとクライアント1をバックアップ 2
聴力検査システム仕様
品名 仕様・形式
データ転送用パソコン ・パソコン本体は、防音室外に置き、ディスプレイケーブルとUSBキーボードとマウスで遠隔操作とした。 1
オージオメータ
リオンAA-79
・RS-232Cでパソコンと接続 1
インピーダンス
オージオメータ
リオンRS-33
・RS-232Cでパソコンと接続 1
電子カルテ接続ソフト
DF−70
・電子カルテシステムからの患者情報取得(ID連携)
・検査装置からの検査結果取得
・検査結果送信-検査結果を画像化して電子カルテヘ送信(画像連携):Medicomの場合は、電子カルテの画像ファイルに直接書き込み可。
1
レントゲンCRシステム仕様
品名 仕様・形式
CRサーバ 160GB IDE−RAID
Digora PCT 六切 8×10インチ(四切 10×12インチも使用可能)の場合は
ローモード   :1206×1512ピクセル(182万画素)、1.8MB
ノーマルモード:1608×2016ピクセル(324万画素)、3.2MB
ハイモード   :2378×2981ピクセル(708万画素)、7.0MB

○ソフトウェア仕様(Medicomの場合)

@長野県福祉医療費給付事業のデータをCDで提出することに対応しています。

A長野県の国保請求書、国保総括表をオーバーレイで印刷することに対応しています。

B事務職員による代行入力をするシステムを考えていましたが、テンプレートを工夫すれば、入力の負担は少ないので、医師が入力しても問題ありません。

C電話自動予約システムとの連携は必要ないことがわかりました。実際、予約しても時間どおりに来院する患者さんは少ないので、受付担当者の判断で、診察順を決めて、ビニールファイルに診察券等を入れて、診察机に重ねて、その順番に診察するようにしました。ID連携だけはできたほうがよいかもしれませんが、新患だけ暇な時に事務職員が氏名だけ入力すればよいので、あまり高額の料金を請求されるようであれば、無理して行う必要はないでしょう。

D領収書・明細書は、メディコム提供のフォーマットがあり、A5用紙に領収書と明細書を細かい文字で印刷できますので、1枚の用紙で済みます。

E診察券印刷について
 診察券はA6の厚紙(120g/u)の左上に自家製で印刷した用紙を使用しています。A6の用紙であれば、レーザープリンタで氏名・フリガナとID番号を印刷することができます。これを80×50mm切り取って、パウチしてカードサイズ(85×55mm)の診察券を作成することにしました。コストは、用紙代と印刷代で数円、パウチフィルムは7円なので、1枚あたり10数円でカラー印刷のきれいな診察券ができます。
 自家製の用紙は、名刺印刷ソフトを使用して、A4の厚紙(120g/u)に4面を表裏印刷してから、4枚に裁断してA6の用紙にしています。

F検査装置との接続について
a)オージオメータとインピーダンスオージオメータ
 リオンのシステムを採用しました。
1)ID連携システムで、データ転送用端末でID入力して、電子カルテから患者情報を取得します。
2)検査が終わったら、検査データをデータ転送用端末にRS232C出力で転送します。
3)検査データを確認してからデータ転送用端末のファイルに書き込みます。
4)電子カルテからデータ転送用端末のファイルを定期的(10秒置き)に見に行って、データがあれば電子カルテに取り込みます。
3)電子カルテで、検査データを表示します。
以上の機能が全く問題なくできており、大変満足しています。

b)レントゲンCR機
 モリタのシステムを採用しましたが、接続ソフトが高額で、メリットがほとんどないので、今回は電子カルテとは接続しませんでした。電子カルテには、所見をシェーマとして、手書きで記録するようにしました。

G病名チェック業務について
 メディコムでは、詳細な病名チェックプログラムが準備されています。ここでは、その概略を説明します。
 病名チェックプログラムとは、それぞれの薬剤について保険診療上認められる病名を登録しておき、ある薬剤を使用した時にレセプトの病名の中に該当する病名がない場合にチェックして、一覧表にして教えてくれるプログラムです。特に院外処方では、レセプトには処方された薬が表示されないので、レセプト点検のみでは、病名漏れがチェックできません。カルテと突合せをすればよいのですが、大変な作業になります。院外処方をされている医院には、非常に有用なプログラムです。
 チェックの内容は、大きく分けて3つに分類されます。
1)医薬品-病名適応チェック:メーカから提供される適応病名マスタデータベースと禁忌病名マスタデータベースでチェックできます。また、ユーザが作成した「適応病名ユーザ設定ファイル」と「禁忌病名ユーザ設定ファイル」でもチェックできます。
2)検査-病名適応チェック:メーカから提供される「検査名マスタデータベース」でチェックできます。また、ユーザが作成した「検査病名ユーザ設定ファイル」でもチェックできます。
3)診療行為-病名適応チェック:メーカから提供される「診療行為マスタデータベース」でチェックできます。ユーザが作成した「診療行為ユーザ設定ファイル」でチェックします。
・マスタデータベースの提供は以前は有償のオプションでしたが、最新のバージョンでは保守料に含まれて提供されるようになりました。マスタデータベースでは疾患群単位の適応病名が登録されていますが、詳細なチェック設定ができませんので、当院ではマスタデータベースは使用せず、ユーザ設定ファイルでチェックするようにしています。
・ユーザ設定ファイルの作成は、かなりの作業量になります。医薬品と検査と診療行為(処置など)の1つ1つに対して、適応となる病名を登録しなくてはなりません。ただし、コピーが可能ですので、同等の適応症を持つ薬剤はコピーして登録することができます。一度登録してしまえば、毎月のレセプト点検が非常に簡単になりますので、省力化につながると思います。

コストについて

Medicom-HRV ハード価格表(定価)    平成25年12月現在
品 名 型 名 単 価 金 額
サーバハードPC(受付1)  ※2012Server MV-H28SAG 1 305,000 305,000
クライアントPC(診察室)  ※Win8 MV-H28PAG 1 168,000 168,000
クライアントPC(受付2)   ※Win8 MV-H28PA 1 158,000 158,000
23型液晶TFT(受付1・2、診察室デュアル) MV-HMT-23B 3 65,000 195,000
21.5型ペンタブレット(診察室) MV-HMP22B 1 220,000 220,000
レーザープリンター MV-HPML25A 1 89,000 89,000
増設ペーパーフィーダー  MC-P4420PF   継続使用 
保険証読取装置  MV-JRS60FG  43,800 43,800
ルーター MV-JCRNVR500 1 41,000 41,000
外付けHDD装置(通常バックアップ、文書・画像用) MV-HDU10A 2 25,000 50,000
無停電電源装置 MC-X4306UPS 1 継続使用
1,269,800

Medicom-HRV ソフト価格表(定価)    平成25年12月現在
品 名 型 名 単 価 金 額
カルテ医事基本ソフト MV-SH836YB 1 3,500,000 3,500,000
カルテ医事クライアントソフト MV-SA386W 1 100,000 200,000
国保総括ソフト MV-SA800CT 1 100,000 100,000
Microsoft Office Personal2013 (診察室) MV-YA900WE 1 30,000 30,000
保険証認識ソフト MV-SA800FRT 1 250,000 250,000
頭書データ送信ソフト MV-SA800ALT 1 150,000 150,000
画像システム連携ソフト MV-SA800DFT  1 260,000 260,000
設置・調整、操作指導説明費    1 200,000 200,000
4,690,000

Medicom-HRV システム価格表(定価)
平成25年12月現在
品 名 金 額
ハード 1,269,800
ソフト 4,690,000
5,959,800

システムサポートサービス料(月額)
35,970

以上ですが、要は
・ハード価格とソフト価格を比べると、ハードが1,269,800円に対し、ソフトが4,690,000円で、ハードが21%、ソフトが79%で、総額の8割弱はソフト価格です
・実際には3割程度の特別値引がありましたことを追加しておきます。

○実際の処理手順
○新患
@患者さんに、「診療申込書」を記入してもらい、保険証とともに受付に提出してもらいます。
A新患登録で保険証を保険証読取装置でスキャンし、保険証認識ソフトで読み取ります。読み取りはかなり正確(9割程度)で、保険者名まで読み取ってくれます。
B読み取りミスを修正します。
C福祉医療受給者証を保険証読取装置でスキャンして、画像登録します。受給者番号は認識されませんので、手入力が必要です。
D診察券を印刷し、切り取ってパウチします。
E受付処理をすると、受け付けた患者が、電子カルテの来院患者リストに表示されます。
F診療申込書、保険証、診察券をビニールファイルに入れ、診察順に診察机に出します。
G診察券を見て、患者さんの呼び込みをしてもらいます。
H診療を行い、病歴経過を入力します。シェーマはペンタブレットから入力します。
I聴力検査の指示は、口頭または指示票に記入して渡します。検査が終わったら、結果を電子カルテに転送してもらいます。
Jレントゲン検査は、レントゲン照射録に記入して指示します。検査結果はビューアで表示します。
K検査が終わったら、ビニールファイルを次の診察順番に入れます。
L処方薬をペンタブレットから入力します。
M診察料、処置、検査等をペンタブレットで入力します。
N病名をペンタプレットで入力します。
O診察終了、承認・保存をクリックすると、データが登録されます。
P会計処理でデータを受信したら、会計チェックを行い、入力ミスがないかを確認して、問題がなければ[終]ボタンを押すと、処方箋と診療明細・領収書が印刷されるので患者さんを呼んで、会計します。
Q軟膏などの院内処方は、会計処理の画面で確認して準備します。
R点滴指示は、指示票または口頭で指示します。
S「診療申込書」は、カルテ番号順に整理して、保存します。
(21)他院からの紹介状、細菌検査結果などは、スキャナで取り込み、画像ファイルとして保存します。
○再診
@受付に診察券と保険証を提出してもらい、保険証を確認したら[確認]キーを押すと、確認した日付が登録されます。
A受付登録画面から患者受付をします。
B保険証、診察券をビニールファイルに入れ、診察順に診察机に出します。
以下は新患のG以降と同様です。

当サイトでは、耳鼻咽喉科領域の電子カルテについてのご意見を募集しています。
ご意見のある方はメールをいただきますようお願いいたします。


○FAQ
Q1:受付にクライアントは必要でしょうか
A1: 受付でのクライアントの用途は
@保険証読取装置がサーバに接続されているため、新患登録はできませんが、再診の登録はできます。
A通常は来院患者の登録状況を表示しています。診療待ちの患者さんが何人いるか、把握するのに便利です。
B患者さんから処方箋の依頼が電話であったとき、事務職員がカルテを開いて、処方内容の確認に使います。
C看護師に問診をとってもらって、記入してもらうこともできます。
Dスキャナが接続されていますので、他院からの紹介状・外注検査結果などを取り込みます。
Eレセプト作業時は、サーバを診療に使っている時でも、手の空いている事務職員が作業をすることができますので、残業を減らすことができます。
Fクライアントの設置費用はPC158,000円、23型液晶TFT65,000円、クライアントソフト100,000円、計323,000円です。7年使えば年5万円足らずで、レセプト作業での残業代を考えれば、十分にペイすると考えます。
以上の理由から、受付にも電子カルテクライアントがあるとよいと思います。

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