ハングゲソ エルビス ! ?


MATさんの
韓国でエルビス勘違い編
どう見てもエルビスである。
去年と同じショートプログラムの衣装である。
見ているこっちが幸せな気分になる、この笑顔である。

授業をサボって遊びに行った先で先生に出くわしたような、仏の手の上で転がされていた孫悟空のようなある種の居心地の悪さはあるのだが、今まで韓国でエルビスの記事に遭遇したことのあるストイコファンはいただろうか?あまりの偶然に、もうまいりましたという心境。

しかーし!

なんで載ってるのよ!?

「現地時間29日、アメリカ、デトロイトで開催されたスケートアメリカ大会、ショートプログラムでエルビス・ストイコが」その先がわからない。

「辞書持ってくりゃよかった…」スケートにかまけて韓国語の勉強をサボっていたツケがこんな形で来るとは思わなかった。その他のスポーツ記事は、サッカー、プロ野球、ゴルフその他色々あるがスケートアメリカの順位は載っていない。

ということはやっぱり韓国では普段スケートの記事は扱わないと見ていいわけだ。それなのになぜ載っているかというと、よほどの珍事か起こったか、それとも他の競技で言うなら世界新記録みたいな、ギネスブック物の事が起こったのだろうか?

韓国語というのは日本語と同じく文字さえ覚えてしまえば音読はできる。記事の中のわからない部分を音読していけば「チョムピ」という言葉がある。韓国も日本と同じく英語由来の外来語をそのまま自国の言葉にしてしまうことがあるので、この「チョムピ」って、ひょっとしてジャンプ?

ショート→ギネスブック物→ジャンプ、といえば!

まさかショートで4回転決めちゃったってこと!?

いやいや落ちつけ、「4」を意味している単語はどこにもない。リハビリ中なんだし、ジャンプの回転数はどうでもいい。この笑顔なんだから滑っていて楽しかったのだろう。しかし人間とは欲張りなもので、あきらめていたエルビスの情報が手に入ると、他の新聞ではもっと詳しく載っているんじゃないかと期待してしまうのだ。旅の疲れで頭が痛い。寒気もする。写真見て泣いたせいで疲労は倍増、しかも夜の10時過ぎ。しかし近くのコンビニにはまだ新聞が残っていた。案外韓国は自国の選手が出ていなくても、海外のスポーツを日本より報道する国なのかもしれない。そもそも思いきり韓国を楽しみに来たのだし、こうなったら毒食らわば皿までだ。

「あたしにここまでさせるとはほんまに魔性の男やわ。いつか会えたら恨みごと言ってやる!!」

「おー!がんばれー!」の友人達の言葉を背に夜の街へ新聞を買いに1人繰り出す私。
しかし気負う事なかれ。ソウル近郊、観光都市のスウォンの夜10時過ぎは宵の口。夜遊びする学生に混じって歩く私はしゃべらなけりゃ地元民(化粧の違いでばれるとは思うが)。
結局コンビニでスポーツ誌を買ったのだがそれにはプロ野球、ゴルフ、サッカーと芸能関係の記事しか載ってなかった。ま、そこまでうまくいかないか。

結局その夜の私は頬が緩みっぱなし。私のストイコ好きも感情表現の激しいのも10年付き合ってわかっている友人達も、まさか新聞記事一つでパニクったり泣いたり頬が緩むとは思わなかっただろう。ごめん。

その後記事は荷物の一番底に封印して、後は宣言どおり思いきり韓国を楽しんだのである。

(ごめんなさいまだ真相編に続きます。)

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